自発痛を伴う不可逆性歯髄炎
強い自発痛で来院された患者さん。歯がズキズキうずいて夜もなれなかったそうです。口腔内所見では原因歯に大きな虫歯によるう窩が認められ、レントゲン所見では透過像が歯髄腔まで及んでいます。典型的な不可逆性歯髄炎ですね。
カリエスチェックを用いて軟化象牙質の除去
カリエスチェックで軟化象牙質の染め出しを行います。虫歯になっている部分が赤く染まります。
これにより軟化象牙質の徹底した除去が行えます。軟化象牙質をしっかり除去せずに根管治療を行っても症状が治らない場合があります。
グライドパス(予防拡大)とネゴシエーション(穿通)
穿通には#06#08#10のKファイルを用いています。レッジを作らずに本来の根管形態を維持するようにしています。根管形態を逸脱するとレッジを作ったりし根管治療が難事化することになります。
不用意に根管内にファイルを押し込むとニッケルチタンのファイルがスムーズに通りにくくなってしまいます。
根管上部の形成をし、もう一度グライドパスの確認を行います。
YDMのファイルフォルダータイプ2が使いやすいです。#06#08#10#12#17と用意しています。中間ファイルもあれば便利ですよね。
グライドパスとはNiTiロータリーファイルが破折しないようにあらかじめSSファイルで#15ぐらいまで拡大しておくことを言います。
グライドパスも最近ではNiTiロータリーファイルが各種出ていますね。有名なところではウェーブワンゴールドグライダーやプログライダーなどがそうですね。
またグライドパス用のロータリーファイルの方が手用のKファイルよりスピードは早いみたいです。
ですが私はグライドパスでは手用のKファイルを使用しています。速さより手指の感覚を重要視しているからです。
Kファイル、ProGliderファイル、Gファイルを使用した下顎臼歯の予防拡大:拡大時間の比較研究。
近心根は頬側根と舌側根が途中から癒合していました。歯髄腔から2本の根管が根尖部で癒合して1根尖となるVertucciの分類で言うとTypeⅡのような形状でしょうか。
ナカニシのエンド用超音波チップE4やE4Dまたは白水貿易のエンド用超音波チップを用いています。
近心根の舌側根と頬側根の癒合が綺麗になりました。こういった複雑な根管形状やイスムスをどこまでいじるかはいつも悩みますがCBCTと歯科用顕微鏡を用いることでなんとか対応しています。
化学的根管洗浄
いかに根尖まで次亜塩素酸ナトリウムを到達させることができるかを考えて治療しています。
そのためには歯牙ごとの根尖径を予測しながら拡大し薬剤を到達させなければなりませんね。
現在用いているirrigation system
NiTiロータリーファイルで拡大していくと根管内に切削片や汚れがたまります。そういった汚れが根管内に詰まると治療を行う上で様々な不具合が出ますのでしっかり洗い流す必要があります。
また、薬剤を根尖まで到達させることも重要ですね。
さて症状も次の日にはなくなったそうで2回目には根管充填まで無事行うことができました。抜髄根であればできるだけ2回目か3回目には根管充填できるようにと考えています。