皆さんおはようございます。早いものでもう12月、今年もあと2週間となりました。年末になって仕事に追われて忙しくブログの更新が滞っていました。みなさん今年もあと少し頑張っていきましょう。
はじめに
さて今日は歯科用CBCT検査のDICOMデータから3Dプリンターを用いて歯牙を複製してみたので記述してみようと思います。
今回はDICOMデータからSTLファイルに変更し3Dプリンターを用いて複製するまでの流れを説明します。なのでまず、抜去歯を歯科用CBCTを用いて撮影します。位置を合わせるために粘土の上に載せて撮影しています、なんかかわいいですね.
2Dビューアーから3Dボリュームレンダリングへ
撮影したデータを2Dビュアーから3Dボリュームレンダリングへ変更し処理を行います。3Dボリュームレンダリングとは医用画像を構成する各画素の位置や投影値に対して光の透過/ 不透過を設定する再構成法のことである。3Dボリュームレンダリングで行えることがたくさんあります。今回は抜去歯を用いていますが通常は歯槽骨の中に歯牙は植わっていますので歯槽骨を除去して歯牙のみを取り出すのにはそのCT値の違いから歯牙のみを取り出す必要があります、その話はまた今度しようと思います.STLファイルへ変換
3Dプリンターへの入稿ファイルとして標準で用いられているSTLファイルへ変換する。
ChiTuBoxスライサーソフトでサポート材の付与
評判のいいChiTuBox の無料スライサーソフトを用いてサポート材の付与を行う。
光造形3Dプリンターを用いて歯牙レプリカの出力
今回用いた光造形3Dプリンターはphrozen shuffle XLです。
- パラLED搭載で露光ムラを軽減
- 50Wの照射強度で硬化スピード向上
- Z軸は2本のリニアレール搭載で精度向上
- XLは19x12x20cmの広範囲な出力サイズ
光造形3Dプリンターで複製された歯牙レプリカ
形状比較
造形され複製された歯牙レプリカです、サポート材の位置が悪く口蓋咬頭が割れてしまいました。出力の条件ももう少し検討の必要がありそうです。
今回は口蓋咬頭がやや不整になってしまったので一部形状比較も正確なものではありませんが、全体で見ると大きさや形態はかなり精密であることがわかります。
今回は、上顎第一大臼歯の抜去歯の複製ですので近心頬側根、遠心頬側根、口蓋根まで綺麗に複製されているのがわかります。
さて、ここまでみてきた歯牙複製ですが現在臨床ではどのような用途で用いられるのでしょうか?
- 歯牙単体で用いるのであればやはり自家歯牙移植に用いる
- 顎骨単位であれば歯周病の骨縁下欠損(1壁性~3壁性等)の診断
- 歯周病治療の再生療法、特にメンブレンを用いたGBR,GTR時の術前トリミング
- インプラント埋入時のサージカルステント作成
- CADCAM技工物、補綴物の作成
まとめ
歯科の業界では光造形3Dプリンターを用いた技工物の作成が注目を浴びているが比較的安価な3Dプリンターが各種出てきている。
やはり精密な技工物を大量に安定して作成する場合やインプラント埋入時のサージカルステント作成ではForm2に圧倒的な分があると思います。
しかし、安価な3Dプリンターを医院で用いることで上記の1~3、つまり自家歯牙移植や歯周病の術前診断には十分使えることがわかります。
自家歯牙移植では歯牙レプリカを用いて移植床を形成してから移植することで歯根膜への損傷が圧倒的に軽減されます。
CBCTのデータから顎骨単位で複製できるので骨縁下欠損の形状(1壁性~3壁性)の歯周外科時の事前診断に用いたり、メンブレンのトリミングを事前に正確に行えるのはオペ時に時間的余裕が生まれると考えています。
また盲目的に行われるSRP時でもキュレットの当たる角度を事前に確認ができるのは臨床を行う上でプラスになるのではと思われます。
歯科衛生士も複製された顎骨を見て早速SRP時にチェサイドに置いて確認していました。さてそろそろ話が複雑になってきたのでそのあたりはまた今度、では~
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