被せ物を入れて数年経過してから歯の神経が失活するケース【歯の神経が死ぬとは?】

皆さんこんにちは

さる3月26日に令和2年度の歯科衛生士国家試験の合格発表がありました。今年は受験者数7216人合格者数は6808人合格率は94.3%という結果でした。

最近では歯科衛生士さんの確保にどの歯科医院も苦労していますが、当医院にもこの4月より新卒で歯科衛生士さんが入局してくれる運びとなりました。世間ではコロナショックによる就職難が叫ばれていますがこんな時期に矢部歯科医院を選んでくれてとても嬉しいですね。できるだけ早くチーム医療に加わって活躍してくれることを願っています。

前歯に違和感を覚えて来院

さて前歯の違和感を覚えて来院した患者さんです。もともと違う歯科医院でセラミックの被せ物が入れられていました。このセラミックはとても綺麗な物が入っていて以前の歯科医院の技術もとても高く良い仕事をされているなあと思っていましたが、こういった場合でも神経が死んでしまうことがあります。

口腔内写真を見てみると審美的にもとても綺麗で一見すると人工的な被せ物とは分からないですね。

審美を優先すると歯の切削量が増える

では違和感が出た原因はなんでしょうか?歯科用CBCT検査を撮影してみると根尖部に限局した透過像が認められました。下の写真で矢印で記した部位です。

診断名は根尖性周囲炎と言われ、一般的にはいわゆる歯の神経が死んだ状態です。ではなぜ歯の神経が死んでしまったのでしょうか?

歯の内部には歯髄と言われる組織がありますが髄角と言われる部分が歯の外側へ突出しているため歯を削る時に歯髄に近くなる場合があります。

特にセラミック治療では被せ物の厚みを確保するために切削量が増える傾向にあります。

歯をぶつけたりする外傷で神経が死んでしまうこともありますが今回はそういった経験は無かったとのことです。

今回の症例でも切削量が増え歯髄の髄角に近づいたために術後何年かかけてゆっくり歯髄が失活したと考察しました。

患者さんもセラミックを装着した後はほとんど自覚症状は無く順調に使えていたようです。

今回はよく話し合って元々入っていたセラミックの適合は悪くないと判断し壊して外さずに裏側から穴を開けて根管治療を行うこととなりました。

歯科用CBCT検査で術前術後の確認

経過観察中に歯科用CBCT検査を行ってみると術前に比べて根尖部の病変がだいぶ縮小しているのがわかります、病変の縮小が確認されたので根管充填へと移行していきました。

修復物や補綴物を装着して何年か経過してから歯の神経が失活し、それに気がつくことはこの症例以外でも時々あります。

審美的なセラミックを装着するためにはある程度の厚みを確保する必要がありますがそのことで歯の神経が死んでしまっては元も子もありません。歯をできるだけ削らないようにすることがいかに重要かこういった症例を見てもよくわかりますね。

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