子供が前歯をぶつけて歯が抜けたり折れてしまった場合

朝、子供が学校への登校中に前歯を強打したということで来院

お母さんが心配されて来院されました。

歯牙の破折は右側と左側に認められます。

口腔内所見では露髄は認められず臨床症状もないため神経には問題はなさそうでした。レントゲン所見でも問題なかったので修復処置に移ります。今回は左側の大きく欠けた歯の一部をお母さんが探して持ってきていたので、それをコンポジットレジンで接着して修復の一部に再利用することとしました。

子供の前歯をぶつけた時の症状

  • 歯が抜ける
  • 歯が欠ける
  • ズキズキ痛む
  • 歯ぐきが腫れる
  • 歯の色が変色する

前歯をぶつけて何日かして起こる症状もあります

前歯をぶつけた当日は無症状で平気でも何日かしてから起こる症状もあります。よく起こる症状としては歯の変色ではないでしょうか、歯の中の神経がぶつけた衝撃で何日かしてから失活してしまう場合があります。この場合歯ぐきが腫れたり歯ぐきにぷくっとしたものができたり歯の色が変色したりします。

歯の神経がきちんと機能しているか歯髄診断やレントゲン撮影で確認しましょう。

子供の前歯が抜けた時に注意して欲しいこと

子供の前歯が完全に抜けた場合

お子さんが転んで前歯がかけたり抜けたりすることはよくあることです。きれいに抜ける場合を完全脱臼と言います。子供の歯の場合完全に抜けても出来るだけはやく抜けた抜歯窩へ戻せばもう一度くっつく場合があります。

できるだけ30分以内に歯科医院へ持ってきてください

抜けた歯の歯根の周りには歯根膜という細胞があります。この歯根膜が骨とくっつくとても重要な細胞です。歯根膜が正常に機能して骨とくっつくには抜けてから元の抜歯窩へ戻す時間が重要と言われています。細胞が死んでしまう時間の基準が30分と言われていますができるだけ早く抜けた歯を持ってきてください。

牛乳や生理食塩水に入れて持ってきてください

子供の前歯が抜けた場合

抜けたまま裸で持ってくると歯根膜の細胞が空気にさらされ死んでしまう場合があります。保健室に【ネオ製薬】ティースキーパー『ネオ』などの歯の救急保存液があればそれに入れて持ってきてください、なければ牛乳に入れて持ってきていただいてもよいです。その際水道水などで砂や汚れを洗い流さなくてよいです。保存液にそのまま入れておいてください。歯科医院で生理食塩水で洗浄いたします。

子供の前歯が折れてしまった時に注意して欲しいこと

子供の前歯が折れてしまった場合

欠けた歯をできるだけ持ってきて欲しいのですが探すことに夢中になり来院が遅くなるようであれば大きなかけらだけで見つからない小さなものは持参できなくても構いません。それよりもできるだけ早く歯科医院へ来院することをおすすめします。

前歯の折れ方によっては歯の神経を取らなければいけなくなる

歯の中には歯髄といって歯の神経があります。歯の折れ方によっては神経が露出して感染を受けている場合があります。露髄面の汚染状況を確認して神経を保存する場合や断髄といって一部汚染された神経をとる場合、抜髄といって完全に神経をとる場合に分かれます。

歯根の発達状況を考えます

上の前歯(中切歯)の歯根が完成するのが9〜10歳ですからできれば歯根が完成するまでは歯の神経は温存しておきたいと歯科医師は考えます。そのため露髄面の汚染状況に加えて歯根の完成状況をレントゲンで確認し神経への処置を決定します。

まとめ

お子さんは思わぬところで転んだりぶつけたりするものです。またお子さん自身が転んだことを覚えていなかったり自覚症状に乏しかったりしますので仕上げ磨きの時に気づくこともあります。何か気になったことがあれば早めに歯科医院で確認してもらってください。

 

 

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