キャノンEOS Rを用いた口腔内写真の被写界深度の違い

Canon EOS Rを用いた口腔内写真の被写界深度の違い

みなさんこんにちは。今日は以前からまとめようと思っていた口腔内写真の被写界深度の違いを考えようと思います。口腔内写真の設定はどうしたら良いのかよりよく撮影するためにはどういった知識が必要なのかを考えていきます。今回は撮影設定の中でも特に被写界深度にフォーカスを当て考察しています。

被写界深度とは?

被写界深度とは写真の焦点つまりピントが合っている距離の範囲のことをいいます。ピントが奥から手前に合っていることを被写界深度が深いと言い、ピントがある一点にあっていてそれ以外がボケていいいる場合は被写界深度が浅いといいます。被写界深度をコントロールするのは絞りであり、その大きさはF値で表されます。F値が大きく絞りを絞り込んでいるほど被写界深度が深くピントが手前から奥まで合っている状態でパンフォーカスであるとも言います。

使用する機材

キャノンEOS R 口腔内写真
今回、口腔内写真での被写界深度を考察するうえで使用する機材はキャノンEOS RレンズにはEF100㎜F2.8 Lを使用しストロボにはマクロツインライトMT-26EX-RTを装着しTTL発光させています。 キャノンEOS Rはフルサイズのイメージセンサーを持つカメラです。

カメラはキャノンEOS R

レンズはキャノンEF100㎜F2.8 L

ストロボはマクロツインライトMT-26EX-RT

撮影に用いた設定

それでは撮影に用いた環境をみてみましょう。

カメラは三脚固定し、レリーズを用いて手ブレ防止しています。 EOS Rの設定はMモードでSS=1/100 ISO=100 JPEG ピクチャースタイルはスタンダード、ホワイトバランスはオートとしています。

被写界深度の違い

それでは被写界深度の違いを見てみましょう。F値を徐々に大きく,つまり絞りを絞っていきます。

  F値が大きくなる、絞りを絞っていくにつれてピントが合う範囲が広くなっています。模型の横に置いたピントテストチャートもF値が大きくなるにしたがってピントが合っている距離範囲が変化しているのがわかるでしょうか。

ピントは面で存在する

口腔内写真

ピントは点で存在するのではなく面で存在します。このことをよく理解しておくことが重要です。

正面観を撮影するときはユニットに患者さんが座って撮影者はやや斜めに立っています、患者さんに撮影者の方に顔を向けてもらうか、もしくは撮影者がユニットの上に乗り出して撮影しないと正面観がやや斜めにずれてしまいます。これはピントが面で存在しているからです。

F=2.8とF=32 最大絞りと最小絞りの違い

最小絞りと最大絞りを比較してみるとその違いがはっきり分かります。f2.8の最大絞りではピントは中切歯の唇側面に合わせていますので臼歯へいくに従ってボケていますね。一方でf32の最小絞りでは中切歯から臼歯までピントが合っているように見えます。

絞り込みすぎには注意!小絞りボケ、回析現象について

さて、では絞りは最小絞りF=32まで絞り込めば良いのでしょうか?

いえ、絞り込みすぎには注意が必要です。

絞りを絞り込みすぎると光の回析現象が起こりシャープさを失うことがあります、この現象を小絞りボケと言います。レンズには美味しい部分があります, 例えば今回使用したキャノンEF100㎜F2.8 Lでは中心部の解像度が最大になるのがF16あたりです。 ここら辺はDPREVIEWに書かれているので気になる方は呼んでください。 なので私は中心部の解像度が最大になり周辺部もくっきりし、小絞りボケをできるだけ起こさないF=22~25あたりを口腔内写真では用いています。しかし回析現象は撮像素子の小さいカメラ,主にコンパクトデジタルカメラで起こる現象ですからフルサイズやAPS-Cカメラで撮影する場合においてはあまり気にしすぎる必要はないでしょう。 口腔内写真の被写界深度についてはレンズの特性や、ストロボの種類やガイドナンバー、フルサイズやAPS-Cのカメラなのか等、考慮することはたくさんあります。

まとめ

私は勤務医の頃から全ての患者さんで口腔内写真を撮影するように師匠から学んできました。開業して10年たちますが毎年必ず口腔内写真を撮り続けていると時系列での口腔内の変化に気づかされることがたくさんあります。自分が行った治療が長くもってよかったと患者さんと分かち合える場合もありますし、自分が行った治療が残念ながら早期に壊れたり様々な理由で虫歯の再発が起こったり反省することもたくさんあるのも正直なところです。忙しい臨床の中でピントの甘い記録や不適切な設定での写真は何年か経過した後に必ず後悔することになりますので日頃からのトレーニングがとても大事になると思って日々臨床にあたっています。

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