鋏状咬合と歯髄の壊死

みなさんこんにちは、そろそろ梅雨入りでしょうか今日もあいにくの雨となっています。

今日は歯髄の壊死にCT撮影をして気づいた症例を少し説明したいと思います。

 

数年前から拝見させていただいている患者さん。

 

約2年前に上顎右側第二小臼歯に違和感があるとのことで当時レントゲン撮影をしたり歯髄電気診断、cold testをしたりしていましたがどれも正常であったため経過観察をしていました。

 

その後、症状も収まったので定期検診となっていました。

 

最近になって親知らずが腫れたとのことで抜歯のためにCT撮影をし無事抜歯したのですが、数年前に違和感が出た上顎第二小臼歯が今になって失活しているのが見つかりました。

 

今回は歯髄電気診断それからcold testともに反応なし、念のため麻酔をせずに切削診を行うも知覚は存在せずやはり歯髄が失活していました。

ということで歯髄が失活してしまっていることを説明し同意を得て感染根管治療を開始しました。

 

患者さんもそういえば時々違和感を感じていたとのこと、ただ生活に支障はなかったのでそのままになっていました。

 

通法どうり根管拡大、根管充填を行います。

 

 今回はできるだけ切削量を抑えてコンポジットレジンによるダイレクトボンディングで修復を行うこととしました。

 

基本的には根管治療を行った歯は支台歯形成を行いクラウンを被せるのが一般的です。

 

術後の歯根破折や歯牙のチップのリスクを説明し、クラウンよりもダイレクトボンディングによるMI(ミニマルインターベンション)を重要視し治療方針を決定しました。

 

今回用いたコンポジットレジンたち、最近お気に入りの松風beautifil ⅡLSです。

 

低重合収縮により、コントラクションギャップやホワイトマージンのリスクを軽減できますとのことです。

インサイザルは透明度もあってきれいだと思います。

 

さて、ではなぜ虫歯にもなっていないのに歯髄が失活してダメになってしまったのか?

考えられる原因の一つに患者さんのかみ合わせがあげられます。

 

黄色の矢印の上下の歯がずれて咬んでしまっています。

 

この患者さんはシザーズバイト(鋏状咬合:はさみじょうこうごう)というかみ合わせをしているのが特徴的です。

模型で再現するとこんな感じです、歯がずれてかみ合っているのが分かるでしょうか?

このかみ合わせだと側方運動時に引っかかって強い力が歯にかかってしまいます。

 

まれに側方圧が強くかかり歯にクラックが入ってしまい歯髄壊死に至るケースもあります。

 

もちろん全ての不正咬合で歯髄が失活するわけではありませんが、おそらく今回は間接的な原因の一つとなったのではと推測しています。

 

虫歯もないきれいな歯だったのでCT検査で歯髄の失活がたまたま見つかって早めに治療ができて良かったです。

 

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